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松井 正 氏(株式会社イトーキ 代表取締役社長)「社会的弱者への支援」

松井 正 氏松井正 氏|プロフィール(2011年11月現在)詳しく知る

1969年 関西大学経済学部卒業
1969年 株式会社イトーキ入社
2000年 執行役員
2008年 常務執行役員 マーケティング本部長
2009年 専務執行役員
2009年 代表取締役社長

対談内容

今回の大震災では、高齢者のケアは大きな課題となっていますが、同時に、子どもたちのケアも重要な問題です。両者とも社会的弱者であり、少子高齢社会においては、共に絡んで対応してくことが重要です。祐ホームクリニック石巻創設にあたり、クリニック環境づくりにご尽力いただいた株式会社イトーキ代表取締役社長の松井正 氏に、社会的弱者支援についてお話を伺いました。


祐ホームクリニック石巻の創設にあたり、多くの方々のご支援をいただきましたが、中でも松井さんには施設環境で多大なお世話になりました。診療所内のデスクやキャビネットのご支援の他、対外スペースの壁に杉の木の壁紙を貼ってくださいました。
宮城県産の杉の木を使うことで、地域経済の復興に寄与されています。被災地での仮設プレハブの診療所でありながら、スタッフが不自由することなく、さらには明るく豊かな気持ちにさえなれます。私たちのスタッフ自身も被災している中、クリニックに来て「がんばろう」と思ってもらえる環境を創ってくれたことに心から感謝しています。
松井 正 氏と対談01 今回の大震災をきっかけにして、日本人の誰もが本来持っている価値観が再び見直されています。ボランティアの方々も多数見かけますが、自分以外の人のために何かしたい、世の中の役に立つ人間になりたいという思いが強く湧き上がってきたように感じます。
武藤先生は、以前からそうした思いを持ち、今まさに我が国の最大の課題である少子高齢化に伴う様々な問題を解決する仕組みを作り上げたいということで行動を起こしてこられました。その具体的な形が、在宅医療の積極的な推進です。
私どもは直接医療に携わることはできません。しかしながら、先生方やスタッフの方々が元気でなければ、患者さんを元気にすることはできませんから、後方支援という立場で診療所そのものや環境づくりのお手伝いを積極的に行っていきたいと考えております。
皆様が私たちの想いを共有くださり、多くのご支援をいただいていることに感謝しております。このクリニックに実際に地域の看護師さんや介護職の方々がよくいらっしゃいますが、「わぁ素敵ね」、「またここへ来たい」、「ここに来ると落ち着く」と皆さん笑顔を見せていただけます。そうした場所になっていけたらいいなと思っています。
それが現地の人の心のケアにつながりますし、実際にそうした声もいただいています。私たちが行うのは、病を治す「治療」ではありません。患者さんや家族が、どうすれば安心して地域に住み続けていけるのかを医療のみならず、介護や生活支援など高齢者を支える社会インフラ創りを中心に据えた「生活に寄り添う医療」を考えています。
松井 正 氏と対談02 先生は、在宅医療の患者さんを中心に対応されていますが、私たちは子供さんへの対応も重要な課題だと考えています。今回、親御さんやご兄弟を亡くされた子供さんがたくさんいて、高齢者と同じように社会的弱者となっています。
精神的なケアも大切です。子供が元気でなければ町も元気になりません。学校も被災し惨憺たる状況で放置されています。学校が再構築され子供も元気になると、相乗効果として町自体にも活気が出てきます。高齢者も子供もどちらも大切な存在なのです。
本当にそのとおりですね。超高齢社会ということをいつも話しますが、本質は少子高齢化です。高齢者が多くいても、それを支える人たちがさらに多くいれば、あまり問題になりません。しかし、日本の人口ピラミッドの歪みそのものが課題となっているのです。
私どもは、環境づくり、特にオフィスや病院の待合など、ある特定の側面での貢献となりますが、日本のために頑張っていきたいと考えています。
ぜひご一緒に歩んでいくことを願っています。
武藤先生に私が非常に共感を覚えていることがあります。先生が皇室の侍医になられたときのお話です。以前、上野の国立博物館に両陛下がお出でになられたとき、車の窓を下げられた皇后陛下には後光が差しておられました。それは何とも言いようのない感動で、私の家内は涙を流していました。
松井 正 氏と対談04 両陛下の侍医として2年半お仕えいたしました。両陛下はご自分たちが何をすべきなのかを常々考えておられ、社会的弱者と言われる人たちのところへ積極的にお出ましになられます。するとメディアは必ず報道します。
つまり、あらためて社会の目がその社会的弱者に注がれるのです。おそばで拝見している中で、自分は当然万分の一にも及びませんが、社会的弱者や社会的サポートがないと生活し続けることが困難な方々に対して何かをすることが、これまで社会から恩恵を受け、医師になった自分のなすべきことではないかと思い、今の活動につながっています。
名誉などを求めるのではなく、社会に役立つ活動をしなければならないのは、2年半お仕えさせていただいた者としての使命ではないかと思っています。
武藤先生に、さらに共感を覚えます。今後とも後方支援としてさらにバックアップさせていただきたいと思います。
本当にありがとうございます。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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武藤 真祐(聞き手)
武藤 真祐|医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック 理事長 詳しく知る

1990年 開成高校卒業
1996年 東京大学医学部卒業
2002年 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了
2010年 祐ホームクリニック開設
2011年 祐ホームクリニック石巻開設
内閣官房高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 医療分野の取組みに関するタスクフォース構成員
みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会 システム構築委員会 委員
石巻市医療・介護・福祉・くらしワーキンググループ委員
経済産業省地域新成長産業創出促進事業ソーシャルビジネス推進研究会委員等公職を歴任

松井 正 氏と対談

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